籠バックの底から
きのうの花びらがひとつ、ふたつ、
おはよう
いつもと同じ朝
桜の季節になると、観たくなる映画『マザーウォーター』
『かもめ食堂』『めがね』『プール』に続く”好きな場所と好きな人”というテーマのプロジェクトでこの映画の舞台は京都です。が、いわゆる観光地の京都は登場しません。
ウィスキーしか置いてないバーの店主 セツコ 小林聡美
疎水沿いのコーヒー店の店主 タカコ 小泉今日子
豆腐屋さん ハツミ 市川実日子
街を歩く人 もたいまさこ
何も起きない映画です。川の流れのようにただ淡々と日常が流れます。
何回も繰り返し観ました。
何の事件もなく、嫌な人も嫌な出来事もなく、シンプルな短いことばのやりとりが心地いいです。
・お豆腐さんの店先で、もたいまさこさんが帰り際にいうことば
「今日も機嫌よくやんなさいよ」
・セツコのバーで、セツコとヤマノハさん(加瀬亮)の会話
ヤマノハ「僕に会う資格なんかないでしょ。あんなこと思っちゃたし」
セツコ 「また、妙なこと考えるのね。人が人に資格なんかいるわけないでしょ。会いたいなら会えばいいし、一緒に帰りたいなら帰ってくればいいのよ」
ヤマノハ「そんな簡単でいいのかなあ」
セツコ 「いいんじゃない、簡単なほうが」
「なにもかもわかってしまうのがいいとは限らないし」
・ラストのシーン セツコ 「楽しい時間が始まるね」
インテリアもファッションもステキなのだけど、おいしそうなごはんが真ん中にあります。この映画でも、おいしいものがたくさんです。
セツコのカツサンド。タカコが自宅で作ったグラタン。もたいさんのひとりの食事、てんぷら。
『かもめ食堂』のおにぎりとシナモンロールは、胃袋も視覚も鷲掴みされました。この料理を作った人は誰?と初めて料理の存在感を意識しました。エンドロールを巻き戻して、確認したのはフードスタイリストという職業があること、飯島奈美さんの名前でした。
それからはドラマや映画でおいしそうな場面をみると、フードスタイリストを確認します。好きな映画やドラマはやっぱり飯島奈美さんが多いのです。
『南極料理人』『深夜食堂』『海街』diary』『大豆田とわ子と三人の元夫』『365日の献立日記』『かしましめし』は飯島さん事務所の方
料理教室に行ったことのない私に、なんでもない日の家庭料理のすばらしさを教えてくれた人です。